Rが「うなぎ食べよう」と言うので、仕事のあと、昨日店が閉まっていて食べ損ねたうなぎを食べに行った。私はひつまぶし(初体験)、Rは白焼きと肝吸いとごはん。それからふたりでう巻き。
うなぎが出てくるのを待つ間、Rが持っていた仕事用の本の中から日本のしきたりの本を借りて読んでいた。
江戸の町人のあいだでは、そばを大晦日に食べることがはじまった。大晦日の大掃除のときに、そばを練っただんごで部屋のすみずみのほこりを取る習慣があった。金細工師にとって、この方法は仕事場に飛び散った金粉を集めるのに効果的であった。彼らは、そばだんごで金粉を集め、そのあとだんごを火鉢で焼いて金粉をとった。
私 「えっ? 金粉は取れても、ひっついたホコリは…?」
R 「だんごと一緒に炭か灰になるんでしょ」
私 「???」
R 「そうしたら金が残るんじゃないの」
あ、「焼いて金をとった」の「とった」は、「取り除いた」じゃなく「採った」!?
てっきり、掃除に使った蕎麦だんごを焼いて、ひっついていた金をぽとぽと焼いて溶かして落として、きれいになった団子を食べるんだと思っていた。
R 「金が溶ける温度って…。だんごはどうなるの?」
あ、そうか。
この習慣から「そばは金を集める」という言葉がうまれ、翌年もよく金が集まりますようにと願ってそばを食べる風習ができた。
ああ、続きを読んだら、「だんごを食べるため」じゃなく「金を集めるため」に焼くんだとわかったのに。
引用は『もっと知りたい日本のしきたり』(武光誠 著。ゴマ文庫) P25より。