杉山登志郎先生が広汎性発達障害と性同一性障害について書かれた文を見かけたので、孫引きになるけれど、自分の覚えに貼り付け。
杏野丈さんという、ジェンダー、セクシャリティ専門らしい精神科医・作家の方のブログ 「Anno Job Log」 から、
「2005-05-26 高機能広汎性発達障害」より。
『高機能広汎性発達障害―アスペルガー症候群と高機能自閉症』(1999.08 杉山登志郎、辻井正次 著)
杉山登志郎の、高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群と高機能自閉症)の診断、その他の障害についての記述
P43
>一般に深刻な性的な問題行動は少ないが、まれに性同一性障害、フェティシズムなどがみられる。性同一性障害は彼らの自己イメージを結ぶ能力のつたなさから、自己の性的イメージの混乱が生じるのかもしれない。あるいは不適応の原因を自己の性的属性に求めて、反対の性に同一化することで不適応を解決しようとする独特のファンタジーなのかもしれない。
「(発達障害に)まれにみられる」とあるけれど、発達障害の人に限らず、一般の人の中でも「まれ」なことなんだろう、きっと。
でも、発達障害の人の自分の性への違和感やフェティシズムは、私個人が受ける印象では、一般の人に起こる割合よりはずっと多いように感じる。
自己イメージを結ぶ能力がつたないところへ、思春期に何かしらの影響を受けて自分の性的イメージが混乱してしまうことや、不適応からの逃避としての反対の性への同一化などの心理は、それが性同一性障害にまで結び付くことがあるのかどうか (というか、後天的な要因で起こるトランスジェンダーも性同一性障害と呼ぶのかどうか) はわからないけれど、強く共感できる。
でもやっぱり、自己イメージの混乱や不適応が起こる以前のもっと先天的なところで、もっと幼少時から、発達障害の人は性別の垣根を越え(てしまい)やすい状態にあるように思う。
これも、個人的な印象だけれど。
(以前書いた記事→
「性別違和感とアスペルガー」)