夜遅い時間、お風呂が空くのを待っている間にリビングのヒーターの前でうたたねしていた。
ふと目が覚めてみると、あたりが静か。時計を見ると3時をまわっている。
いつの間にかRはお風呂を出て二階に行ったのかなと思って風呂場を見ると、明かりがついている。
あれ? まだお風呂に入ってるのかな? それとも明かりを消し忘れてるのかな? とドアを開けた。
洗い場には誰もいない。やっぱりもう寝たのかな。
…わっ!
こちら側の壁に背を向けて誰かが湯船に入っている。
私 「誰!?」
その人が顔を上げて黙ってこちらを見た。誰だかよくわからないけれど、家族のようだ。
私 「Kちゃん…?(私の妹) あ、お父さん…?」
R 「はあ?」
私 「…あ、R。」
妹も父親も田舎の方に住んでいる。
寝ぼけた状態の時には時々、Rと結婚していることを忘れて、田舎の家に親や妹と一緒に住んでいるような感覚になる。
新しい記憶が抜け落ちるよう。
そんな時にはRの顔を見ても誰なのかわからないらしい。
前にも
同じようなことがあったのを書いたことがあったし、それ以外にも、ベッドで目が覚めて、隣にいるRを妹だと思ったことも何度かあった。
でも今回は、目が覚めた時には、Rがお風呂から上がるのを待っていたことは覚えていたのに。
これだけ何度も私に忘れられていたら、私が実際に痴呆症になってRが誰なのかわからなくなった時にRが受けるショックは、多少は軽減されているかも。