そう言えば前に、私が二階で昼寝していて、Rが仕事から帰ってきて階段を登ってドアを開ける音で目が覚めた時、部屋に入ってきたRを見ても誰なのかわからず、見知らぬ人に見えて、「誰!誰!?」と大声を出したことがあった。
目が覚めても脳の記憶をつかさどる部分が眠ったままだったのか。
私 「誰! なんでいるの?!」
R 「なんでって、ここ、ぼくの家やん」
私 「ぼくって誰よ!」
R 「ひとりしかいないやん」
私 「ふたりいるやろ! あ、もうひとりは私か」
自分がいるその場所がどこなのかもわからず、ぼくの家やん、と言われた時点で、ここは家だと理解し、この家には誰かふたり住んでいたんだったというイメージが戻ってきたんだけど、それが誰なのかはわからないままで、
ひとりしかいないやん、と言われた時点で、目の前の人はそのうちのひとりらしいという気はしてきて、
ふたりいるやろ!、と言った後で、ふたりのうちの片方は自分だったんだと気付いて、
この家には私とこの人のふたりだけで住んでいるんだとわかって、急にさみしくなったのを覚えている。
まあ、単に、ただ寝ぼけている状態なんだけど。
ずっと前に妹から、妹の友達が、婚約者が交通事故に会ったので病院に駆けつけたら、事故で記憶を失った婚約者から他人を見る目で「誰?」と言われてすごくショックを受けたらしいという話を聞いて (しばらくしたら記憶は回復したらしい)、それはかなりショックだろうと思ったんだけど、この「寝ぼけ」の後、そういうのって、脳の一部が少し働かなくなるだけで簡単に起こり得ることなんだなあとつくづく思った。
私に「誰?」と言われたRはショックだったろうか。
それともあきれただけだろうか。