一眼レフを買った時から、「今度帰省する時にはカメラを持って帰って、妹に露出やシャッタースピードのことを教えてもらおう」 と思っていたのに、いざ帰る時にはそんなことはすっかり忘れていて、荷物になるからとカメラを置いて行ってしまった。
なので、帰省時の写真は携帯電話のものだけ。
その携帯、転んで水に浸った後しばらくはジョグダイヤルが動かず、かかってきた電話を取ることと受信したてのメールを見ることしかできなかったけれど、しばらくしてダイヤルが一方向にだけ動くようになって、そのうちたまに反対方向にも動くようになって、撮った写真をPCに送れるまでに復活してきた。
(数年前の機種なので、撮った写真の移動はメールに添付するしか方法がない。)
普段からあちこちにぶつけまくっているこの携帯のカメラはピントがボケボケで、色や明暗のメリハリもなく写真らしい写真が撮れないんだけど、今回はなぜか割にきれいに撮れている。
(打ち所がよかった?)
帰省時に乗った山あいを走る単線電車の車内に、ゴミ箱。
座席の横に当たり前のように置いてあって、なんか可笑しい。
(ここ最近電車に乗っていないけど、今は他の電車の車内にもゴミ箱が?)
親の家に着いたら、玄関先に時計草。
紫色の細い蔓がクルクルしていてかわいかったので近付いて撮ったら、ちぎり絵のような不思議な写真になった。
夕暮れ時、裏庭側の窓の障子を開けると、聚楽壁に斜めの木漏れ日。
木と、土と、陽射しと。
母親が土産に持たせてくれた、キュウリ(へちま?)のようなかぼちゃ。
「すま子」と書かれたシールが貼ってあったのでそういう品種かと思ったら、生産者の名前らしい。
縁側の床板に落ちる植物の影の曲線と「すま子」の曲線が絡んで、一枚の絵のよう。
田んぼの中にある妹の家の窓には、夜、光に集まった虫を目当てに小さな青蛙が何匹も貼り付いている。
(外灯の光とカメラのせいで、なめらかできれいな黄緑色が写らなくて残念。)
磨りガラス越しに時々一瞬開く、薄っぺらくて真っ赤な口。
庭にまわってそっとつかむと、昔あったおもちゃのスライムのような感触で、薄くてひんやりした皮膚が指に柔らかく吸い付いて気持ちいい。
(こんなに気持ちいいのに、妹に 「ギャー! その手でどこにも触らないで! すぐに洗ってきて!」 と叫ばれた。)
親の家の中庭の木。
家を建て直して庭を作り直した時に新しく植えられたもの。
そびえるように空を目指していて、どうもこの家族や家のイメージになじまない。
帰省してこの木を見るたびに、知らない家に来たような気持ちになる。