日曜日。
書斎に風を通しに入って、床に投げ出してあったクッションをまたいで往復して部屋を出ようとしたところで振り返り、「ああ、これ、何年ここにこうしてたんだろう。織り模様と色が気に入っていたけどもう使うことはないよね」と、長くそこにあったクッションを拾い上げて新しいごみ袋を出してきて入れた。
長い間無碍にしていてごめんね。
ありがとう。さようなら。
新しいごみ袋を出したついでに、他にも何か捨てようと見まわして、自分の足元に目を落とした。
指がはみ出てる。
新しいバブーシュを探しに行く間がなくて破れたまま履いていたら、横から指が出るようになってしまった。
次のを買うまでに転びそうだから、とりあえず、もう滅多に使う機会のなくなった客用スリッパを履いておいてこれは処分。
スリッパかごからスリッパを取り出そうとして、その前に積み上がっているamazon箱の途中に乗っかってるタバコが目に入った。
二年前の夜、帰宅した時にふと「タバコ、やめよう」と思って、カバンから取り出したタバコをここにポンと置いたものだ。
あの感覚は不思議だった。
それまでずっと「明日から禁煙」「このひと箱吸ったらやめる」「やめようと思えばいつでもやめられるから」「禁煙はガマンの反動がくるから節煙で」とずるずる吸ってきたのが、なぜかその時ふとやめられる気がしてタバコを置いて、それ以来、ウソのようにパッタリやめることができた。
廊下の正面にあるので、何かの折にこのタバコの箱が目に入ることがあったけれど(廊下の正面にあるんだから普段目に入らない方が不思議なんだけど)、なんとなく、標石というか要石というか、これがここにあることが何かの標になっているような封じてるふうな感じがしてきて、目に入ってもそのまま手を触れずに置いてあった。
でも、もう丸二年。
(二年間、これがここにあってもRも何も言わなかったんだなあ。っていうか、このRのamazonタワーも二年以上前からそのままここにあるってことか。)
もう大丈夫かな、と、手に取った。
中身がしっかり詰まっているような感触。
カバンから取り出しながら「まだ買って開封したところだけど」と思った覚えがある。
開けてみると、二本だけ吸ってあった。
二年間のお守り、ありがとう。さようなら。
両方のかかとに穴が開いて雨水が滲み込む普段履きの靴も捨てた。
濃くも薄くもないモカがかったマットなグレイで(くたびれててらっとしてるけど元はマット)ジーンズの色を選ばず履けるので、春から秋まで車通勤に重宝していた。
でも、もう捨ててもだいじょうぶ。
ちゃんと次のを買ってきたから。
うん、おんなじのを。
このあと一箇所集中で大量に物を捨てたけれど、写真が多いので別記事で。
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