Rが、出張先の新潟で20代くらいの女の人たちから
「きれいな手をしてますね」「肌やしぐさがきれいですね」
と言われたらしい。
洋画を見ていて、あ、Rのしぐさだ、と思うことがある。
部屋の入口から何か問いかけてきた執事などに、机に向かう人が書類に目を落としたまま無言で少し手を上げて、指先をわずかに動かしてYESやNOを伝える場面など。
その手を上げる動きも指先の動きも、静かでたおやかで美しい。
けれど私には、「それでいいよ」なのか「それはもういいから向こうに行って」なのかがわからない。
映画のシーンでも、実際のRのしぐさでも。
あと、眠っているときの指先。
なぜか、片肘を曲げて片手をふんわりにぎって、数本の指を花びらが開くように立てて、人差し指で頬を指差したまま、頬に触れる寸前の宙で止めて眠っていることがよくある。
その姿を見るたびに、弥勒菩薩の半跏思惟像のようだと思う。
「なんでよくその格好で寝てるの?」
「知らないよ」
「手を浮かしていて疲れないの?」
「寝てるんだから知らないよ」
「肌、20代の人にきれいって言われるってすごくない?」
「どこに行っても言われるよ」
いいよね。
肌やしぐさがきれいだというのは、それだけで上品で高貴な印象がある。
私とは違う社会の人のよう。
あ、しぐさなら、私だって気をつけて努力すればきれいにできるのか。
…と思ったけれど、私の場合、肌をきれいにするより難しいかも。