午後、二階の窓を全部開け放して掃除やら片付けやらをしていたら、窓のすぐ下から小学生くらいの男の子の声が聞こえてきた。
「すげえ、なくなってる」
「こんなん落ちてるで。あ、あそこにも」
何を見つけたんだろう、とそっと窓から見下ろすと、何ヵ月か前に家が取り壊されて空っぽになっている隣の空き地の前で、男の子がふたり立ち止まっている。
「入っていいんかな」
「ロープとかなんもないしいいやろ」
中に踏み込んで、
「おおっ、こんなんもあるぞ」
「うわぁ、へんな虫いる!」
「あそこに基地あるぞ!」
「これ、爆弾や!」
楽しそう。
「この色のガラスは毒で白いのは薬やねん」
「じゃあ白い石は特別な薬やで」
「他にもないかな」
しばし夢中になって遊ぶ男の子たち。空き地や空き家の探検は面白い。聞いているだけでわくわくしてくる。
そう言えばここに越してきたばかりの頃、大きな土地を分割して買ったので家の裏にそのまま地続きの広い空き地があって、昼間よくそこにしゃがみ込んで、以前建っていた家を解体した名残りらしい古いタイルの破片やレンガのかけらや、庭に欲しい蔓状の草や草花の種、整地された時に掘り起こされたらしい何かの球根なんかを集めては持ち帰っていた。
仕切りも何もない地続きとはいえ、あまり奥まで立ち入ってはいけないだろうと手前の方でうろうろしていたけれど、気が付くと真ん中あたりまで踏み込んでしまっていて、誰か見咎める人がいやしないかと慌てて周りをキョロキョロ見回したり。
でも子どもたちはそんなこと気にせず、一気に奥まで駆けて行って、基地の物色。
わくわくを分けてもらって、片付けが少しはかどった気がする。