大阪市の個室ビデオ店放火事件(…自体、ニュースを見ないのでよく知らないのだけれど)で、事件の半日前に容疑者が、奈良県内の宗教施設で南米原産の植物を煮出して幻覚作用をもたらすお茶を飲んでいたことがわかったというニュースを読んだ。
【個室ビデオ店放火】幻覚作用のあるダイミ茶を飲む 小川容疑者が事件半日前
小川容疑者が飲んだのは、ブラジル発祥の宗教「サント・ダイミ教」の儀式に用いられる「ダイミ茶」で、幻覚作用の持続時間は約2~6時間とされる。
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小川容疑者が飲用したダイミ茶は、南米のアマゾン川流域に自生するつる状植物「アヤワスカ」が主原料。煮出して飲むと強い幻覚作用があり、現地では宗教儀式や民間療法に用いられている。
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厚労省によると、アヤワスカからは麻薬取締法で規制されている向精神性成分「ジメチルトリプタミン」(DMT)と、薬事法で規制されている「5メドキシDMT」が検出された例があるという。
このため、アヤワスカの抽出物を所持すると処罰対象になる可能性もある。ただ、同省は「情報が少なく国内にどれだけ入ってきているのか実態がわからない」としており、事実上野放しの状態になっている。
一方、小川容疑者らに提供した宗教関係者は「ダイミ茶はブラジルの教団本部から送られてくる。合法か非合法かはよくわからないが、これまでずっと使ってきたし、事件後に警察に提出したが何も言われていない」としている。
「ダイミ茶」「アヤワスカ」ってどんなものだろうと検索したら、バロウズの著書に出てくるYage(Yagé?)のことだった。
アヤワスカは、ペルー、ボリビアなどの先住民族の言語であるケチュア語で、「魂のつる」、「死者のロープ」という意味をもつ。「アヤ」は、魂、精霊、先祖、死者などを指し、「ワスカ」は、つる、ロープを意味する。また、ブラジルでは、カーピ、シポ、オアスカ、ダイミなどと呼ばれ、コロンビアではヤヘイ(Yagé)と呼ばれる。ヤヘイの名称は、ビート・ジェネレーション作家のウィリアム・バロウズと詩人アレン・ギンズバーグによる『麻薬書簡』(The Yage Letters)により一般に普及した。
(Wikipediaの「アヤワスカ」の項より)
Yageは、私が持っている1979年の版の思潮社の『麻薬書簡』("Yage Letters")では「イェージ」と表記されているけれど、河出書房新社から出ている「再現版」では「ヤーヘ」と表記されているらしい。一般には「ヤヘイ」で知られているんだろうか。
この本には「アヤワスカ」ということばは出てこなかったと思っていたけれど、今見たら「アヤウェスカ」と書かれている。
ちなみにマリファナは「マリュアナ」。
幻覚作用のあるお茶と言えば、欧米で麻薬として禁止されているというトンガのカバ(カヴァ、KAVA)を飲んだことがあるけれど、私にはサッパリだった。
麻薬系も覚醒系も、元々のドーパミンレベルがおそらく人と違うせいか、私にはそれらしく効いたためしがない。
脳内麻薬が一番。
思潮社のこのシリーズの装丁が好きだったんだけれど、もうないのかな。カバーの紙色と紙質と、背文字のレイアウトが好きで、これは中のレイアウトもきれい。
一緒に写っている『裸のランチ』はバロウズの代表作。帯には「麻薬患者の恐るべき実態、人間の醜さ汚さを描いて、驚愕的な反響を招いた体験小説」とある。デヴィッド・クローネンバーグが映画化しているけれどまだ(?)見ていない。