『Newsweek』 2008.8.27号にあった『21世紀オペラのめくるめく衝撃』によると、最近はオペラも現代化を図って若い観客を誘い込もうと、風変わりで一般受けするテーマを取り上げたりアバンギャルドな作品が作られたりしているらしい。
右の写真(Newsweek誌面を携帯で撮ったもの)は、『ハエ男の恐怖』のリメイクで有名な映画『ザ・フライ』のオペラ版で、演出も、同映画の監督デビッド・クローネンバーグが行っているとのこと。
指揮は、現代アメリカの二つの歌劇場で芸術監督を務めるプラシド・ドミンゴ、音楽は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでアカデミー賞作曲賞に輝いたハワード・ショア、台本は、戯曲『M・バタフライ』でピュリツァー賞候補にあがったデービッド・ヘンリー・ホアンが手がけているということで、私は恥ずかしながらクローネンバーグしか知らないけれど、そうそうたる製作陣らしい。
21世紀に入って、オペラの世界では「異色作」がめじろ押しだ。スペインの文豪ガルシア・ロルカと同性愛の恋人との関係を回想した『アイナダマル』が初演を迎えたのは、03年のこと。その2年後には、原爆開発計画に参加した科学者たちの苦悩を描いた『ドクター・アトミック』が登場した。
出演者の乱闘騒ぎなどで話題を呼んだアメリカのトーク番組を題材にした『ジェリー・スプリンガー ジ・オペラ』は、ロンドンのロングラン公演を経て今年1月、アメリカが誇る音楽の殿堂カーネギー・ホールへ凱旋。革新オペラの波はまさに最高潮に達した。(『Newsweek』 2008.8.27号 『21世紀オペラのめくるめく衝撃』より)
2010年にはデンマーク王立歌劇場が映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』をオペラ化、11年後には、地球温暖化に警鐘を鳴らしたアル・ゴア前米副大統領の映画『不都合な真実』が歌劇となってミラノ・スカラ座の舞台に上がる予定らしい。ドキュメンタリーのオペラ化は史上初とのこと。
オペラの歌曲には好きなものがいくつかあるけれど、オペラ自体はテレビでやっているのを少し見たことくらいしかなく、島田雅彦の話を聞いて多少興味を持ったものの、実のところはその魅力がよくわかっていない。
でも『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『ドクター・アトミック』やクローネンバーグが演出したものだったら見てみたい。
今度からNHK芸術劇場はオペラもチェックしてみよう。