結婚した時に買った鍋、3つ。
左上の大きな広鍋と、その隣の深いシチュー鍋と、下の段の柄だけ写っているフライパン。
厚くてずっしりしたステンレス(3層構造だか5層構造だかになっている)のクローム色と、本体取っ手とふたの取っ手の真鍮色の取り合わせに一目惚れしたもの。
プロ仕様のごくシンプルな形で、取っ手類のゆるやかなカーブと、取っ手を固定するがっちりしたヒンジがかっこいい。
確かラテン系の国の製品で、見た目そのままの「金と銀」というような意味のシリーズ名だった。
(“oro”は付いていたけれど“argento”っぽい語感の単語は付いていなかった気がするので、スペイン語で“Oro y plata”…?
家に帰ったら鍋に付いていたリーフレット(まだ持ってる)で確認しよう。)
※
結婚後に日用品を買いそろえていた時にお店で目に入って、「きれいだけど手が出ない値段だなあ」「でも、高いけど、この鍋なら一生大切に使うんだけどなあ」と指をくわえて見ていたら、Rに「それ、うちの会社で安く入るよ」と言われて買ったもの。
でも、失敗だった。
これを買ったらもう一生鍋を買うことはないだろうと思ったので、大は小を兼ねるだろうと大きめのを買ったら、大き過ぎた。
結婚した頃に時々作っていた、スパイスから作って数時間煮込むインドカレーやタンドリーチキンには重宝したけれど、シンプルな料理を好むRは、複雑な味のカレーや鶏の煮込みよりもボンカレーや鶏の塩焼きの方が好きだった。
それがわかってからは家ではそういう料理を作らなくなって、二人暮らしの普段使いにはデカ過ぎて広鍋や深鍋は使わなくなってしまい、フライパンも、多層構造の一番内側がステンレスなのですぐに焦げ付かせてしまって手入れが面倒で、Rが会社で980円の鉄の中華鍋を買ってきてからは、フライパンもお蔵入り。
ごくたまに、十数人でタイカレーやペルー料理なんかを作る時に駆り出される程度で、そういう集まりも最近はほとんどなくなって、もっぱら棚の上の飾り物。
確かに、一生物で、大きな料理を作る時には重宝するんだけれど、あと何回使う機会があるだろう。
なので
ストウブは、毎日の料理で使えるように、20cm。
部屋が片付いたら、この「金と銀」でまたゆっくりタンドリーチキンでも作ってみたい。
※ “ORO-INOX(オロ・イノックス)”だった。
鍋に付いていた説明書きには「スペイン語で『金と銀』」と書かれているけれど、正確には「金とステンレススチール」。
「バルセロナの名門BRA社の最高傑作シリーズ」
「バルセロナの職人気質が創り上げた伝統のデザイン」
「銀色の18-10ステンレスに金色に輝く高品質の真鍮を巧みにアレンジ」
「理想的な3層構造」
「おいしさを逃さない蓋の秘密」
「画期的な20年保証付」
とのこと。
検索してみると、財団法人 日本産業デザイン振興会のサイトの
“DISEÑO ESPAÑA”というページの中の“Gourments”の項に
「「Oro-inox」シリーズは、1984年にマリアーノ・ガルシアがデザインした機能製の高い台所用品から成り、洗練された形のボディにカタルーニャの鋳物師たちが丹念に作り上げたガウディを思わせる把子が付いている」
と書かれているのが出てきたけれど、他に日本語のサイトは出てこないので、もう日本では販売されていないのかも知れない。
(ガウディを思わせる把手!)
大好きなデザインなので、ごくたまにしか使わないけれど、やっぱり買っておいてよかった。