私が作る雑煮は京風。
でも、何度かよその家の京雑煮を食べたことがあるけれど、私が作るものとは全然違っていたし、どういうものが本物の京雑煮なのかはよく知らない。
私の雑煮の基本材料は、里芋(ほんとの京雑煮はかしら芋で作るらしい)、金時人参(深赤色で長細くて甘みのある和人参。煮るととても柔らかくなる)、雑煮大根(直径3cm、長さ十数cmほどの寸胴で小さな大根。祝大根)、丸餅、白味噌。
入れる具はどれも丸くて色合いは紅白。
丸はタマシヒが入るイレモノの形。聖なる形。
(なので普通の大根をイチョウ型に切って入れるのはわたし的には許されない。)
そこにオプションで雑煮大根の葉を刻んで、百合根とくわいと銀杏を入れる。
(百合根とくわいと銀杏は正月専門感があるので食べたいけれど、煮物や茶碗蒸しを作るのは面倒なので、一緒に雑煮に入れているだけ。)
私の雑煮が他で食べたものと違うのは、その濃厚さ。
白味噌が多めで甘味が強くて餅が柔らかく溶けるくらいが好きなので、おかわりする頃には餅がトロトロと味噌に溶け出して里芋に絡まって、どこまでが餅でどこからが味噌でどれが里芋なのかわからないほど渾然一体となっている。母親が作る雑煮もそうだった。
トロトロと言うよりどろどろ。そしてやたら甘い。
それこそが京風雑煮だと思っていたので、Rの母親んちや友達んちで白味噌の味噌汁に餅を入れただけのような「京雑煮」が出てきた時、心の中で「ニセモノだー」と叫んでいた。
おせち料理は、結婚して最初の正月に一度だけ、本を見ながら本格的に作ったきり。
その半年前には、炊飯器の取扱説明書を読みながらご飯を炊いて、料理の本を見ながら味噌汁を作っていた状態だったけれど、料理本通りに作れば結構それなりに何でも作れる自分に驚いた。
初挑戦のお節料理を明るい春慶の三重の重箱に詰めて、鯛の尾頭付きや車海老の塩焼きと一緒に記念写真を撮って。
あれが最初で最後。
次の年からは、大晦日と元旦を含む年末年始の数日間、Rに店番に呼ばれるようになっておせちどころじゃなくなったので、欲しい物だけ惣菜売り場で単品で買うようになった。
あの店番のおかげで、私の正月の儀式へのこだわりは相当緩和されたよう。
そうそう、元旦のお雑煮を食べる前には、改めて鏡餅と注連縄に拝礼しなきゃいけない。
毎年きちんとそうしないと気が済まなくてRにムリヤリ付き合わさせていたけれど、それも今年はしなかった。
成長?