読ませてもらっている日記に子どもの名付けの話が書かれていて、その中に
「語感で言うと『え』の音は人から好かれる」
とあったので、思わず
「え~っ!?」
私の本名の頭には「え」が付いていて、小さい頃からその「え」の音がなんとなくイヤだった。
中途半端に平べったく開けた口から出てくる、妙にねちっこい音。
海老茶色でベタベタしていて、幼稚で汚くて下品な音に思えて。
「汚い子ども」だった私にふさわしいきたない音の名前。
(そう、私にとっては「え」は海老茶色。中学か高校の頃、ランボーが「E」を白く感じると書いているのを読んで納得できなかった。その後、フランス語の「E」の音を知って、日本語の「え」の音とは全然違う緩やかでニュートラル寄りの音だったので、まあこれならばと思ったけれど。)
自分の名前が嫌いだったので、高校生の頃からペンネームを使うようになって、人に
「私の名前、ベタベタしていてなんか汚い音でイヤだから…」
と言ってたんだけれど、反応はみんな
「そう? 別にそんなことないけど」「いい名前だと思うけど?」。
誰にも共感してもらえずに不満だったけれど (まあ、本人を前に「言われてみれば確かにきたない音の名前だ」とは言えないだろうけど)、その後何かで語感に関する文章を読んで、「そうそう!」と、スッキリ。
そこには、言語圏に関わらず人類共通的に感じる語感の話が書かれていて、母音に関して書かれた部分には、人は「a」の音には明るさや力強さを感じ、「o」には落ち着きを感じ…等々。
うんうん、確かに。
そして「e」の項には、
「人は『e』の音には汚さを感じる」
と。
やっぱり。
例に挙がっていたのは、日本語では「えぐい、えずく、えげつない」等。
もっとたくさんの例があったけれど、忘れてしまった。
(ラテン語系、ゲルマン語系等、他の言語でもそれぞれ例が挙がっていたけれど、それも忘れてしまった。)
他にも「e」に感じられる感覚について書かれていたと思うけれど、覚えているのは、「きたない音」だということだけ。
…というようなコメントを、その、名付けについて書かれた日記に書きかけて、ふと、
「あっ、この人のこの日記を読んでいる娘さん(が現在留学中なので、その子に向けて書かれている)の名前の頭には、私と同様に『え』が付くんだった」と気付いて、慌てて投稿を取り消してこっちに書いた次第。
ふ~、気付いてよかった。
ごめんね、え○ちゃん。
ごめんなさい、名前に「え」の付く方々。
…と書いてから、「あの頃読んだあの語感に関する文章、出てこないかな…」と検索してみると、代わりに、
「E音は奥行きがあり懐が深く遠く遥かで、Eで始まる(または終わる)名前はエレガントで思いやりのある知的な印象」
というような記事が。(@@)
転載禁止・リンクフリーとのことなので、URLを。
【語感ジャーナル~ヒットネームの秘密~】2007/5/7 第6号より、
「エリちゃんが宿すエレガンスの謎」
http://blog.mag2.com/m/log/0000227183/108523593.html
うーん、そうなのかなあ。
確かに遠く遥かな感じはする。
子どもの頃にこれを読んでいれば、すぐ暗示にかかりやすい私はもっと自分の名前が好きになって、もっと自分を好きでいられたかも。