ショッキングな映画。
見終わってガーっと泣いてしまい、しばらく泣き止めなかった。
「感動して」とか「悲しくて」じゃなくて、もう、どうにもやり場のない気持ちになって。
こんなにショックを受けたのは、ビョークの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』以来かも。
いや、最初からどういう内容なのか知っていたら、そんなでもなかったんだろうけれど。
BSで放送されていたものだけれど、半年前に録ったもので、どういう映画案内が付いていたかすっかり忘れていたし、タイトルやトップ画像は、よき幼少年期の日々、みたいな印象だったし。
「なんでこれ録ったんだろう。全然覚えてないや」
「つまらなかったら途中で見るのやめるよ」
と言って見始めて、始まってすぐに、ナチス占領下のポーランドのユダヤ人の少年らの話だとわかったけれど、それでも、まさかこんな。
特に、ユダヤ人の少年をかくまっていた家の下の子どもトロ(Tolo)が、顔の造りも表情も、Rに瓜二つの甥っ子の小さい頃にそっくりで、見ていて思いっきり感情移入してしまった。
最後のシーンのトロの表情が、頭に焼き付いて離れない。
その表情も、甥っ子にしか見えなかった。
(ついでに書くと、人相の悪い牧師がミック・ジャガーに見えて可笑しかった)
思わず、家にある中で一番上等のDVD-Rディスク(と言っても80円)に保存版で焼き付け。
映画サイトを見ると「感動作」と紹介されているけれど、「感動作」と言うのとは違うような。
覚え書き
Toloを演じているのはLiam Hess。1992年オーストラリア出身。
ってことは、撮影時は9歳!? 8歳?
もっと幼く見えた。
Rの甥っ子も、今年中学に入ったんだけど、周囲からはよく小学3年生くらいに間違われる。
写真はTV画面より。
おまけ。Rのレビュー。(ネタバレがあるので、moreで)
ポーランドの素朴で美しい自然と
近代社会による戦争の硬質な暴力。
この映画における
その見事な対比に
見るものの心は引き裂かれる。
自分はどちらの世界に属する存在なのだろう、と。
ポーランドでもドイツでもその他の国々でも
その戦争の頃も今現在も
大多数の人たちは確実に暴力の側にいる。
当り前だ。
収奪される側にいたいなんて誰も思わない。
でもその事は
実は誰にとっても
悲しく苦しいことでもある。
それは生きる上で避けられない痛みであり
拭い去る事のできない穢れである。
だから人は信仰を求める。
最も年下で最も自然に近い存在であるトロが
暴力と反対の世界に身を置くことになったのは
ひとつの必然であろう。
3人の小さな使徒を残して
トロはもうひとつの世界に旅立った
もう開く事のできない重い扉の向こうに…
救いようの無い悲しい出来事でありながら
それは残された者たちにとって唯一の救い。
トロに関する思いや記憶は
残された者たちにとって
教義を越えた信仰の在り処になったのだから。
そして「残された者たち」とは
この映画を見終えた全ての人たちのことでもあり
トロの存在は重い楔として
その人たちの心に打ち込まれる。