コメント欄に、生涯夢を記録していた人の話があったので、ずっと以前、夢日記を書いていた頃のことを思い出した。
元々、色・味・触感・音声付きのありありとした夢を見る方で、目が覚めてからも夢を引きずっているようなことが時々あったけれど、結婚した頃、環境が大きく変化したせいか、連日、不気味で長くて緻密な夢や、重い感情や激しい感情を伴って実生活に侵食してくるような夢ばかり見るようになって、日記に書き留め始めたことがあった。
でも、夢を記録するようになると、どんどん長くどんどん細部まで思い出すようになり、思い出せば思い出すほど細部まで書き留めておきたくなって、夢を記録するのにかかる時間が、最初は10分ほどだったのが、30分、1時間、2時間とどんどん伸び始めて。
しかも、書きながら後から後から思い出して書き足していくので、直接ノートに書いているとぐちゃぐちゃでワケがわからなくなり始めて、いったんチラシの裏に下書きしてそれをノートに清書するようになって、そのうち、あまりに細かく記録し過ぎて清書する時間もなくなって、ぐしゃぐしゃの下書きをそのままノートにはさんでいくようになっていって。
気が付くと、毎日夢を記録するだけで一日の大半が終わるような状態になっていた。
昼頃に起きて、すぐに夢を反芻しながら日記を書き始めて、夜になるまで書き続けて、寝て、起きたらまた今見た夢を書き始めて。
それでも思い出した全部は書ききれずに、途中で略したり、あきらめたり。
ふと我に帰って、いったい何をやっているんだろう、私、おかしくないか? と気付き、あぶないものを感じて、夢を記録するのをやめてしまった。
今は、あの頃のような異様な夢や強い感情を伴う夢を見ることはほとんどなくなった。
ごく普通の、現実をおびやかすことのない、わざわざ書き留めたいとは思わないような夢ばかり。
安定しているということか。