先週の「世界遺産」(TBS)は、ルイス・バラガンの建築だった。
バラガンの建築で一番有名なのは、ピンクの壁が印象的なバラガン邸。
私がたまに通る道路沿いにも、ちょうどバラガンのピンクと同じくらいの色合い・彩度のド・ピンクの建物がある。
鼠色のビルに挟まれたその建物は、湿気を含んだ日本の空気を通して見るとかなり下品で悪趣味に見えてしまうんだけれど、メキシコの陽射しと鮮やかな緑の木立の中で見るバラガンのピンクは、とてもきれい。
昔、家を建てようと思ってインテリア誌や写真集を買い集めていた頃に買った本の中に、何枚かの鮮やかなピンクの外壁や棚の写真に惹かれて買った洋書の分厚い写真集があった。
その写真集は、確かどこかの国のいろんな建築を集めた写真集で、買ってすぐに失くしてしまったんだけれど、そのピンクの壁や棚だけは記憶に残っている。
その頃はその家が有名な建築家によるものだとは思わず、ずいぶん後になってバラガンを知って、あの写真集はメキシコの建築集だったのか、と気付いた。
「自身の設計によるバラガンの邸宅には、彼が建築に求めた理想が、最も純粋に表現されています。
何よりもそこにあるのは、静けさ、そして安息感。」
(番組のナレーションより)
鮮やかな色だけれど静かなのは、空間に物が少ないからか。
物が少ないけれど虚ろでなく静かに満たされた印象なのは、色に包まれているからなのか。
(写真は上から、Barragán Foundation、amazon.jp、
DESIGN MUSEUMより。)