シャーロット・ランプリングは、中学一年の時に私が初めて名前を覚えた女優だ。
(と言っても、それ以降今に至るまで、名前を覚えた女優・俳優はせいぜい十数人しか増えていないけれど。)
「愛の嵐(ナイト・ポーター)」の映画評を読んで惹かれ、ナチの制服姿の彼女の写真を下敷き代わりのハードケースにはさんでいた。(エロ中学生。)
「スイミング・プール」は、舞台になっている建物の色が美しい。
リビングの柔らかな山吹色の壁と濃オレンジのドア、
サラの部屋のベビーブルーの壁とオレンジのランプシェードとブルーグレイのドア、
ジュリーの金髪に似合うオレンジ味のある赤い壁。
たっぷりの陽光と緑と水面。
そんな建物周辺でのふたりの生活。
静かで無駄のないカット。
シンプルな流れと答えの明かされないトリックで、絵を楽しんでいるうちに終わってしまった。
昔はシャーロット・ランプリングのフランス語の発音に英語なまりがあるのがすぐにわかったけれど、今は聞いてもわからない。
彼女のフランス語が上達したのか、私の耳がフランス語の音を忘れたのか。