Rはよく、女性にも間違われていた。
(さすがにこのトシになってくると、もうないけれど。)
Rが配達に行ったら、届け先の家の人に
「まあ、女の人なのにこんなに重い物を。すみませんねえ。」
しっかりネクタイしてるのに。
Rが店番していたら、
「今日は店に若奥さんが出てたわよ。」
あそこの若奥さんは美人だ、なんていうウワサが広まったら、
美人でない本物の若奥さんとしてはすごくイヤだ。
家に近所の奥さんが訪ねて来た時にRが出たら
「あ、お母さんですか…?」
年齢も性別も間違ってる。
極めつけは、日曜の朝、まだ寝ていた時間に呼び鈴が鳴ったのでRに出てもらったら、
後日、近所の年配の奥さんに会った時に
「この間の日曜の朝、あんたんとこに行ったら、女の人が出てきたわよ」
「あ、あれ、うちのダンナなんです」
「違うわよ。女の人が出てきたのよ。びっくりしたわ。あんたじゃない女の人。それもパジャマで! 日曜の朝に!」
話がこじれそうだったので、
「ああ、思い出しました。姉が来て泊まってたんです」
「あ、そうなの…? ならいいんだけど」
あらぬウワサが近所に広まるところだった。