(磨けばぴかぴかに光るはずの、手入れしてない真鍮のドアノブ)
ふらふらになったRが午前2時頃に帰ってきた夜。
温めておいたお風呂にも入らずそのまま覚束ない足取りで二階の寝室に直行して、バタンとドアを閉める音がしたと同時に、ガン! バラバラバラ…と、小石が散るような音がした。
「あーあ、やられたかな…」
明け方二階に寝に上がったら、案の定、金色の石が床に散らばっていた。
「昨日、愛のくさり、切ったでしょ」
「あれ、『愛のくさり』なの?」
「うん。そう呼んでた」
世間がバブルだった1980年代に3,980円くらいで買った、金色の石を模した大きなビーズを連ねたチェーンベルト。
ごろごろとした不定形の石の形が気に入って、ベルトとして使わなくなっても手放さずに箪笥にしまってあったのを、この家に引っ越してきた時に、なんとなく寝室のドアノブに絡めたんだった。
けれど、ルーズに二重に巻き付けるタイプの長いベルトだったので、ドアノブにぐるぐる巻き付けてもすぐにずるずると垂れ下がって、頻繁にドアにガシャンとはさんでしまって開け閉めの邪魔になっていた。
掛けておくならしっかり縛るか何かで留めるかしなきゃ…と思い続けて、20年。
とうとう切れてしまった。
で、床に散乱したまま数日間放ってあった石を、先週の日曜日の夜にやっと拾い集めて、接いでまたドアノブに掛け直した。
今度はドアにかまないように、いつかチョコレートにかかっていたリボンで縛って。
(乙女チックなルックスになってしまった)
20年、日々くさりをかみ続けたドアの縁の疵。
先週の日曜日、洗濯と買い物以外にやったのは、これだけ。
動くペースがひどく落ちてる。
なんとかしたい。
おまけ。
一階のドアノブは楕円の真鍮。お気に入り。→
http://karino.exblog.jp/7229593/