この連休に帰省してきた。
「前は何年も帰らなかったのに、急にえらいマメに帰ってくるようになったやん」と妹。
一度投与されただけの抗がん剤ですっかり髪が抜け落ちていた母の頭には、以前の黒髪の代わりに白髪が生え揃ってきていたけれど、リンパ液がたまって困っていると言っていた左足は、八月に帰省した時より明らかに大きく浮腫んでいた。
ガン手術後や放射線治療後の後遺症のリンパ浮腫は徐々に進行する慢性の病気で、完全に治すことはできないらしい。
リンパ浮腫のサイトには「適切なケアをすれば悪化を防ぐことができる」と書かれているものの、病院で言われた通り足を上げて寝たり朝晩にマッサージしたりしていても、母の足は短時間で大きくなってきている。
治療用に病院で買った弾性ストッキングのLLサイズも、もうきつくて入らないらしい。
でもそれを穿いていないと、ますます浮腫が進行してしまうよう。
「この間くれたリンパマッサージのファイル、助かってるわ。病院で教えてもらったのより詳しいし絵が入っててわかりやすいわ」
ファイルは、前回の帰省前に左足の腫れのことを聞いて、ガン手術後のリンパ浮腫のマッサージ方法や生活の注意点をネットで検索してプリントアウトしたものを薄いクリアファイルに綴じたもの。
八月にそれを持って帰省した時に、「足のマッサージをする前に先にリンパ液の出口の左脇の下のマッサージから順に始めやんとあかんって聞いてる?」と訊いたら、
「うん、先生にそう聞いて、最初にここをこうやってから…」と言いながら、左脇の下に差し込んだ右手で高速&強烈にガガガガガッ!と脇下をこすった母。
「ちょっ!ちがう!全然ちがう!猫の毛を撫でるくらいのやさしい力じゃないと! スピードも手の平の下のリンパ液を一緒に連れてくる感じでもっとずっとゆっくり! これくらいのペースで!」
病院では手順を簡単に説明するだけで、どんなふうにするかの具体的な説明や実演はしてくれないらしい。
今、左足は右足の1.5倍近くに膨れているように見える。
このまま腫れが進むと歩けなくなることもあるらしく、そうなると、認知症の父とふたり暮らしの母の生活は大変なことになってしまう。
隣町でリンパ浮腫のマッサージをしてくれる病院が見つかったそうで、さ来週から月に2、3回、そこに通うつもりらしい。
それで少しは進行が抑えられればいいんだけれど。